山口新聞リレーエッセイ
▲ 山口新聞(2018年1月28日朝刊)リレーエッセー掲載分

山口新聞(2018年1月28日朝刊)にて、エッセイ(リレーエッセー)を寄稿させていただきました。

自分ができることを継続

健全な地域医療のために

全国の統計調査によると歯科診療所の数は約6万9千件であり、コンビニエンスストアの数よりも多い。山口県には677件もの歯科診療所が存在している(2017年1月末時点厚生労働省)。このことを話すと「そんなに歯医者があるの?」と驚かれる。歯科医師過剰、歯科衛生士雇用、歯科技工士の労働環境、歯科診療報酬の伸び悩みなど、様々な問題により歯科医療業界は競争が激化している。

強みを生かして

私は約6年間関東地方でシステムエンジニアとして働き、その後地元下関に戻ってきた。下関歯科技工専門学校に通いながら市内の歯科医院に勤めていたが、職種は歯科技工士でなく事務長であった。WEBを活用した集患、医院IT化、歯科医院経営補佐などに携わった。

一流企業でも失墜する時代。SNSで個人が国家を動かす時代。先行き不透明ななかで人生設計を再考し、「生涯現役」を意識するようになった。少子高齢化に伴い医療サービスの充実化が求められている。自身の強みを活用し、安心して歯科医療を受けられる地域社会の実現に向けて個人事業として独立した。

技工学校在学中にご縁があり、下関市歯科医師会のホームページを制作した。休日歯科診療、訪問歯科診療は将来的に必要性を増してくる。歯科専門家・関連組織が正しい情報を発信し、一般市民が手軽に情報収集できるようにするためにもホームぺージは有効である。

『モダンタイムス』(伊坂幸太郎著)には次のように書かれている。「人は知らないものにぶつかった時、まず何をするか。検索するんだよ。」この言葉は現代の情報社会を象徴している。検索は日常行為となり人々は様々な情報を探し出し比較検討する。今や事業を営む上でホームページはあって当たり前となっている。検索で調べたときにホームページが存在することで商品購入・サービス利用の機会を得ているのである。

時代の流れとともに検索行為も変遷している。10代から20代は検索エンジンでなくSNSで検索をしている。理由は「広告や不審サイトが多くありリアルでないから」という。一部のIT評論家によると検索エンジンの利用はなくなるのではないかと言われているほどである。このことからも分かるように、ホームページは制作してからの運用が重要となってくる。

安心医療の提供

一方で医療従事者としての品位を損なうホームぺージが乱立しているなか、美容医療サービスに関する消費者トラブルを減らすべく、今年6月に改正医療法が施行され医療広告がより厳格に規制される。医療機関としてのあるべき姿をもう一度考え直す必要がある。

私は歯科業界にマーケティング手法、ウェブ技術を取り入れることで人々との接点を増やし正しい情報を伝えることができれば、利用者は安心して歯科医療を受けられるようになると考えている。また、労働人口が減少する中で充実した医療サービスを提供するために必要な人材を確保することも重要である。自分ができること、自分にしかできないことを継続し、間接的に歯科医療に携わることで人々の健康寿命を延ばし、地域社会に貢献したい。

はらだ・ともひろ 下関市出身。名古屋大学大学院理学研究科卒業後、システムエンジニアとして6年間勤務。退職後、下関にUターンし、下関歯科技工専門学校に通いながら歯科医院で事務長・ウェブマーケティングを3年間担当する。歯科技工士の免許を取得し歯科業界向けにウェブを活用した集客・求人支援事業を立ち上げる。トモデザイン代表。下関市富任町。36歳。

次回は原田さんの紹介で、下関市の林昂史さんが担当します。