弊社は夫婦で株式会社を設立しました。役員(妻)が妊娠・出産しましたが、子どもは保育園への入所を考えています。その時に私たちが実際に調べて検討したことを踏まえ、会社を設立したことによって受けられる恩恵についてご紹介します。(注:保育園の距離が近い、延長保育がある、などの保育園を選ぶときの基準になる内容は掲載していません。)
前提条件として下記をご確認ください。
- 夫の私が代表取締役、妻が取締役
- 法人形態は株式会社
- 社会保険(厚生年金+健康保険)に加入
保育園入所の基礎知識
まずは保育園に関する基本的なことを紹介しますので、これらについて把握しておきましょう。
保育園の種類
保育園には、認可保育園と認可外保育園があります。保育料、入園の選定基準などに違いがあります。これらについては以下で詳細に解説します。
認可保育園とは
認可保育園とは、国が定めた設置基準を満たしている厚生労働省管轄の児童福祉施設で、都道府県知事に認可されているという特徴があります。
認可外保育園とは
認可外保育園は、国が定めた設置基準を満たしていない保育園です。代わりに認可外保育施設指導監督基準という基準があり、国・市が立入調査を行っています。
今回紹介する企業主導型保育施設はこちらに該当します。
企業主導型保育施設とは、企業が従業員の子どものために国から運営費の助成を受けて運営する保育施設です。複数の企業で共同利用することができます。
以降、認可外保育園のうち、企業主導型保育施設に絞って説明します。
保育料
幼児教育・保育の無償化のトピックがよく聞かれますが、①3歳から5歳までが無償化対象であり、0歳から2歳までは原則対象外、②通園送迎費、食材料費、行事費等は無償化の対象外、ということを把握しておきましょう。
幼児教育・保育の無償化は、認可保育園でも企業主導型保育施設でも適応されます。0歳から2歳までの保育料はそれぞれ定め方が異なります。
認可保育園の場合、自治体が保育料を決定します。具体的には子どもの年齢や世帯収入などによって保育料が決められます。
企業主導型保育施設の場合、保育施設が自由に保育料等を定めることができます。
入園の審査
認可保育園の場合、自治体が入園の可否を決定するため、必ずしも希望の保育園に入園できるわけではありません。一方、企業主導型保育施設の場合、施設が入園を決定します。企業主導型保育施設にも定員があるため、希望する保育園に入園できるとは限りません。
弊社は2022年1月に株式会社設立、それまでは夫婦ともに個人事業主として働いていました。出産も2022年であり、認可保育園の保育料は前年度の世帯年収によることから、夫婦の世帯年収で計算すると大きな金額になってしまうことが分かりました。
私たちは「少しでも安い保育料で希望する保育園に入園したい」と考えるようになりました。
会社でできる保育園入園対策
前置きが長くなりましたが、弊社が保育園入園に向けて検討した2つの方法を紹介します。
企業主導型保育施設への入園
企業主導型保育施設は、企業が従業員の子どものために国から運営費の助成を受けて運営する保育施設です。自社が保育施設を運営しなければ利用できないかというと、そうではありません。企業主導型保育施設と利用契約を結ぶことによって、契約した企業の従業員の子どもが従業員枠で入園することができるようになります。
つまり、夫婦で会社を経営している場合、法人として企業主導型保育施設と契約を結べば、子どもを入園させることができます。通常、契約を結ぶためには自分が所属している会社に要請しなければなりませんが、自分の会社であれば問題なく契約を結ぶことができますよね。また、もちろん役員だけでなく、従業員が利用することもできます。
受けられる恩恵(メリット)
①従業員枠として入園できる
従業員枠は地域枠より定員人数が多いという特徴があります。そのため、定員制限が緩和され、入園できる可能性が高くなる傾向にあります。
②従業員枠の保育料で入園できる
一般的に地域枠より従業員枠のほうが保育料が安いという特徴があります。また、保育園によって、延長保育や一時保育などの料金も安くなったり、従業員枠でなければ利用できないサービスも活用することができるようになります。
③認可保育園の入所ポイントが加点される
3歳児以降は、認可保育所の利用調整点数が加算され、認可保育園に入園しやすくなります。
注意点
①事業主として、子ども・子育て拠出金を負担している必要がある
子ども・子育て拠出金を負担していない場合、利用契約はできません。厚生年金の適用事業所であれば、子ども・子育て拠出金を負担することになるため、問題ありません。
②法人形態によっては契約できない可能性がある
保育園に見学に行ったとき、法人形態について聞かれました。弊社は株式会社ですので問題ありませんでしたが、法人の形態によっては契約できない可能性があるようですので、事前に確認してください。
③契約企業の負担が有料となる場合がある
私が調べた保育園では契約企業負担は無料でしたが、有料の保育園もありますので、確認してください。
④保育園によっては契約を結べない可能性がある
企業主導型保育施設によっては、自社従業員を優先的に扱いたいというところもあるため、利用契約が結べないケースもあります。
役員報酬を調整
認可保育園の保育料は子どもの年齢・世帯年収などによって決められます。
そのため、企業主導型保育施設でなく認可保育園への入園を検討している方で、入園タイミングを計画できている場合は、役員報酬を減らすことも一つの方法だと思います。
役員報酬は、定期同額給与(事業年度を通じて毎月の支給額が同額)の原則があります。そのため、1年間は同じ金額を支払い続けなければなりません。その間、役員報酬額は変えられないため、大幅な減額をすると生活が苦しくなります。プライベートの預貯金を確認し、子どもが2歳になるまで役員報酬をどうするか?について検討してみてください。