中小企業診断士として活動する私たちは、企業の経営課題を解決に導くプロフェッショナルです。しかし、「ITが苦手」という言葉を耳にする機会が増えました。
実際に私が出会った診断士の中にも、何かあるごとに「ITに詳しい人に聞いてみます」と言って自分で調べようとしない人が少なくありません。
果たしてそれで良いのでしょうか?
ITリテラシーは「一生学び続ける」もの
私は、「ITリテラシーは一生学び続けなければならない」と考えています。なぜなら、IT技術は驚くほどのスピードで進化しているからです。
例えば、コロナ禍においてZoomなどのオンライン会議ツールが爆発的に普及しました。最近では、各開発会社がしのぎを削り、生成AIがどんどん進化しています。
「ITが苦手」は免罪符にならない
私の経験談をお話しします。
時間制限があることを知らなかった
コロナ禍でZoom普及に伴い、多くの人が機能や仕様を学ぶ必要に迫られました。当時のZoomの無料プランは1vs1の会議は時間制限がありませんでしたが、3人以上の会議を行うと40分の時間制限がありました。
ある診断士がこの仕様を知らず、会議中に時間切れになり「もう一度部屋を立ち上げる必要がありますね」と説明したところ、「勉強不足で知りませんでした」と返されました。セキュリティ面での指摘に対しても「ITに詳しい診断士に聞きます」と他人任せ。
この姿勢では、顧客からの信頼を得るのは難しいでしょう。また、仕様を把握せずにツールを使い続けていることも危険ですよね。
ITが苦手なので…
また、こんな相談を受けたことがあります。
「会議室で行う会議を、Zoomでも参加できるようにしたいのですが、何か気をつけたほうがいいことはありますか?」
質問自体は非常に前向きなのですが、その後に付け加えられた言葉が気になりました。
「ITが苦手なので…」
この「ITが苦手」という一言は、時に自らの責任を回避するための免罪符のように使われます。しかし、診断士として「苦手」で済ませるわけにはいきません。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる時代に、支援する側が時代の流れに遅れているのでは話にならないのです。
代わりに調べていることを忘れないで
また、ITにも様々な分野があります。「ITが苦手なので教えてほしい」という質問に対して、その方たちが代わりに調べてあげていることも多くあるということについて、忘れないでいただきたいと思います。
最低限のITリテラシーを身につけるには
高度なITスキルが必要なものは、ITのプロフェッショナル人材にしか対応できません。しかし、最低限のITリテラシーは診断士として身につけておかなければなりません。
そのために、まず重要なのは「自分で調べる姿勢」です。
例えば、Zoomの基本機能やChatGPTの活用法など、現代のITツールは情報が豊富に公開されています。わからないことがあればまず調べてみる。そして必要に応じて周りに聞く。この順序が大切です。
次に、実践を通じて経験を積むこと。私自身、最初はZoomの活用に戸惑うこともありましたが、実際に使ってみることで自然と理解が深まりました。Zoomの活用に関しても、無料プランでもパソコンとスマホがあれば、診断士一人でつないでテストすることはできますよね。
「触ってみる」ことが、ITリテラシー向上の最短ルートです。
最後に:ITを味方につけることで広がる可能性
ITリテラシーを身につけることは、決して難しいことではありません。むしろ、少しずつでも学んでいけば、診断士としての提供価値を大きく高めることができます。
実際に、ITスキルを磨いたことで活動の幅を広げた診断士も増えています。例えば、ZoomやTeamsを活用して遠方のクライアントともスムーズに商談を進めたり、生成AIを活用して報告書作成の効率を上げたりと、ITを味方につけることで、より多くの企業を支援できるようになります。
「ITが苦手」と言っていた診断士が、自らが学び、実践を重ねたことで、経営者から「頼りになる存在」として認識されるようになったケースもあります。
私たちは、常に学び続ける存在でありたいものです。ITスキルは、単なる道具ではなく、診断士としての価値を高める「武器」です。少しずつでもいいので、一歩ずつ前に進んでいきましょう。それが、企業の成長を支援し、ひいては自分自身のキャリアをより豊かにすることにつながるのです。
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