2024年2月19日(月)と2月21日(水)、福岡県生活衛生営業指導センター様主催のICT活用セミナー講師を務めさせていただきました。
また、2023年秋~2024年1月にかけて、デジタル化推進事業の専門家として、「JuzzClub KINGFISH」様のデジタル化を支援しました。
「生衛ふくおか」2024年春季号にて、詳細な内容をご紹介いただきました。
下記、掲載内容を引用してご紹介します。
後継者育成支援事業(令和5年度講習会:スマホ教室)
講習会を2カ所で開催
当センターでは、生衛業の経営の効率化と積極的な展開を図るため、後継者育成支援事業として、生衛業の後継者などを対象にした講習会を毎年開催しています。今年度の講習会は、スマホ教室として、福岡市、北九州市の2 カ所で開催しました。テーマは、「実践塾 スマホでWeb マーケティング」。専門家の指導を受けながら実際にスマホを操作して、Web(インターネット)を利用した集客のための情報発信の方法について学びました。
令和6 年2 月19 日に開催した北九州会場には、飲食店の経営者を中心に6 人が参加、2 月21 日開催の福岡会場には9 人の参加がありました。文字通り、少人数制の個別指導塾のような雰囲気でした。
Web マーケティングのポイント
最初に、講師の原田智弘中小企業診断士から、次のような説明がありました。
- Web マーケティングで大切なこととして、「誰に」(誰をお店のターゲットにするか)、「何を」(そのお客さまにどう思ってほしいのか、そのために何を伝えるか)、「どのように」(具体的なツールの活用)をまず考える
- スマートフォン(スマホ)は生活の一部になっている(普及率約9割)。お客さまはスマホで情報を探しており、広大なWeb の海の中で、お店側ではスマホで情報を見つけてもらうことが必要である
- LINE、Facebook など、いろいろなWeb 集客ツールがあるが、なかでもInstagram(インスタグラム)は無料でかつ国内利用者が3,000 万人を超え、効果的なツールである
インスタグラムの実践
説明のあとは、インスタグラムの実践編です。初級者は「まず投稿してみる」、経験者は「投稿内容の充実」をゴールにして、それぞれがテキストを見ながらスマホの操作に取り組みました。わからないことがあると講師に個別で質問したり、講師から手ほどきを受けたりと、悪戦苦闘しながらも、全員無事ゴールすることができたようです。
参加者の声
参加者からは、「いろいろなセミナーに参加したが、今までで一番わかりやすかった」、「講師から直接ていねいに教えてもらったので理解できた」、「新しい発見があり、新しい体験ができた」という声が寄せられ、大好評でした。
指導センターでは、こうした講習会を毎年開催しています。セミナーとは違って、今回のスマホ教室のように、少人数で、講師からマンツーマンで指導を受ける形式で行います。令和6 年度に開催する講習会については、詳細が決まり次第、「生衛ふくおか」や当センターのホームページでお知らせする予定です。
デジタル化推進事業 営業者取組事例
Instagram のフォロワーが激増 お客さまとの会話も盛り上がる
近年、社会のあらゆる分野にデジタル化の波が押し寄せています。スマホ1台あれば、電話だけでなく、メール、振込、ショッピング、動画視聴など、多くの用が足ります。生活衛生営業においても、集客アップ、経営の効率化のために、デジタル技術の活用が必須になっています。令和5年度に実施したデジタル化推進事業では、営業者の方が指導センターと専門家の支援を受けながらInstagram 活用による集客アップに取り組みました。その取組事例を紹介します。
新しい顧客を呼び込みたい
今回、Instagram(以下、インスタ)活用による集客アップに取り組んだのは、ジャズバー「JazzClub KINGFISH」の店長である武本強志さんです。同店は、音楽家でもある丸田啓さんが、福岡市の繁華街・中央区大名に、2014 年に創業したバーです。プロの演奏家による生演奏が楽しめる店として、多くのジャズファンから愛されています。
同店の運営を任されている武本さんにとって、最大の課題は、お店のお客さまを拡大することでした。常連のお客さまは30 代以降の年配の方が中心です。20 代の若者や女性を新規客として取り込みたい。近年増えている外国人観光客をお店に呼び込めないか。そのために始めたのが、インスタでした。
しかし、反応は今ひとつで、集客にはなかなか結びつきません。そうしたとき、組合から「デジタル化推進事業」の話があり、専門家による指導・支援を受けることにしました。
インスタのフォロワーが1.4倍に
ITの専門家である原田智弘中小企業診断士が、3 回にわたって訪問による指導・支援を行い、令和5 年10 月から、下記の「(表)主な取組内容」を実践しました。
その結果、同店のインスタ投稿の好感度が上がり、アカウントを登録した人の数を示す「フォロワー数」は、取組開始前は500 人弱でしたが、翌月には600 人となり、1月末には700 人を超え、約3カ月で1.4倍になりました。それに伴って、来店客も増えており、満員となることもたびたびです。
なかでも韓国、香港、東南アジアなどからの外国人観光客が目立って増え、音楽やお国言葉を話題にして会話することが多くなりました。
インスタを見たお客さまなどからは「盛り上がっていますね」、「楽しそう」という評価をいただき、武本さんは手ごたえを感じています。
(表)主な取組内容
①ハッシュタグの工夫・改善 | ・「〇〇とつながりたい」「ひとり飲み女子」など、ターゲットとしたい顧客を意識したキーワードを設定 ・インバウンド対策として、ジャズ、コンサートなど、シンプルな言葉を英語と韓国語でハッシュタグにした |
②ハイライト機能、ピン止め機能の活用 | ・今週の予定、イベントの告知をハイライト機能で行った ・お店の紹介等をピン止め機能を利用して行った |
③ホームページとの連携 | ・ホームページとインスタ、フェイスブックのリンクを設定 |
④投稿内容の工夫 | ・1枚目の写真にこだわった。具体的には、前日の生演奏の様子を伝える画像や動画を投稿 ・前日のエピソード(来店客の様子、お店の雰囲気、来店客と演奏者との交流など)をキャプションで紹介 |
店長・武本さんの話
若い人たちにもっとジャズを知ってもらいたいと思い、インスタを使って、発信を始めました。当初は、演者とイベントの紹介が主でした。ただ、反応は弱く、果たして効果があるのか、わからない状況でした。今回、専門家の方から、誰に、何を、どのように発信するかを指導していただき、それをもとに自分なりに試行錯誤して投稿するようにしました。すると、フォロワー数がどんどん増えて、お客さまからも「インスタ見たよ」という声をいただくようになりました。それがやりがいとなり、毎日開店前に投稿するのが日課になっています。
専門家からのアドバイス
インスタの国内ユーザー数は3,300 万人と発表されています(2019 年3 月時点)。インスタの最大の魅力は、こんなにも多くの人と、無料で、スマホひとつで、直接つながることができるという点です。
上手に活用するためのポイントは、誰に情報を届けたいのか、ターゲット層を明確にすることから始めましょう。今回の取組の成功要因は、「誰に、何を伝えたいのか?」を深く検討し、店長の武本さんが何度も試行錯誤しながら改善し続けたことだと思います。インスタだけでなく、デジタル技術の活用では、目的を明確にしてから取り組むようにしましょう。