歯科技工所の広告については歯科技工士法第26条により定められた事項以外を広告してはならないことになっています。

歯科技工士法 第26条

歯科技工の業又は歯科技工所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。

(1) 歯科医師又は歯科技工士である旨

(2) 歯科技工に従事する歯科医師又は歯科技工士の氏名

(3) 歯科技工所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項

(4) その他都道府県知事の許可を受けた事項

2 前項各号に掲げる事項を広告するに当っても、歯科医師若しくは歯科技工士の技能、経歴若しくは学位に関する事項にわたり、又はその内容が虚偽にわたってはならない。

この法律は、患者の適切な歯科医療を受ける権利を保護するために設けられています。具体的には、歯科技工士・歯科技工所が歯科医療行為を行えるかのような紛らわしい広告を出して、患者に誤解・不利益を生むことを避けるためです。そして、歯科技工士の歯科医師法違反を誘発することを避けるためでもあります。つまりこの法律は歯科技工所間の競争の抑制等を目的としているわけではないと考えられます。

法律が出来てから社会情勢は変化し、特にIT技術(WEB)が発達してきました。今では事業所がホームページを持つことは当たり前となっています。歯科医師・歯科医院側からすると、技工作業を依頼する歯科技工所を探すときにホームぺージを検索し、情報を集めるということが一般的には考えられます。しかし、ホームぺージに掲載する内容について広告の制限があるのであれば、有益な情報提供をすることは困難となってしまいます。

ホームページは広告の制限に該当するか?

平成23年の厚生労働省医政局歯科保健課長通知では歯科技工士法における広告とならない具体例が挙げられています。そして、その中に歯科技工所に関するホームページが含まれています。

詳細は以下をご確認ください。

日本歯科技工士会 行政からの発出通知等

歯科技工士法第26条に係る運用について

※つまり現状では歯科技工所のホームページは歯科技工士法第26条に抵触することにはなりません。ただし、今後国(行政)の見解が変わる可能性はあります。

※バナー広告、検索サイト上で検索した際にスポンサーとして表示されるものは広告に該当する恐れがあるとされています。

歯科技工所のホームページ

大規模な歯科技工所、また全国規模で見ると一部の小規模・個人経営の歯科技工所でもホームページを保有しています。

歯科技工所がホームぺージを保有することによるメリット・期待効果は次のようなものが考えられます。

①歯科技工士の認知度向上

看護師や美容師などと比較すると、歯科技工士という職の知名度は低いです。WEB上への情報が露出することにより歯科技工士の認知度が向上し、歯科技工士を志す人が出てくる可能性があります。次代の歯科技工士を生むためにも、歯科技工士界を盛り上げるためにも、歯科技工士という職業をアピールすることは大変有用です。

②地方都市の雇用創出(人材確保)

全国区の採用・求人活動にも有効です。全国区と言われると範囲が広すぎるという印象を持つかもしれませんが、採用・求人に関してはとても有効です。なぜなら、家族の転勤やUターン就職などで仕事を探す人がいるためです。

③事業の方向性を社員で共有

自社の強み、取り組みなど、社員で共有するツールとして使えます。また、歯科医療関係者から見たときに、歯科技工所として安心感を提供することができます。

④販路開拓・営業

自社のサービスを24時間365日アピールすることができます。一般の広告は掲載できる事項が限られていますが、ホームぺージ上ではそのような内容を掲載することができます。また、広告出稿や配布などのコストと比較すると安価で永久的に使うことができ、広告スペースなどを気にすることなく、好きなだけ情報を掲載することができます。

まとめ

歯科技工士法第26条はとても大切です。本来の目的と時代の変化が合わなくなってきていることは否めませんが、個人的には当該「広告の制限」については一般人に対する広告の制限であり、自由競争の観点からすると医療関係者への広告は歯科技工士界の将来のためにも必要であると考えています。

そのような環境のなかで、ホームページを保有している歯科技工所は少ないため、ホームページを開設することで歯科技工所間の競争で優位に立つことができます(先行者利益)。これから歯科技工所を開設する若い人はWEBに関して抵抗感がないため、ホームページを開設する人も出てきます。そのため、将来的な後発者に対しての対抗手段ともなります。

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