強い組織を作るためには、従業員が自発的に働きかけてくれることが重要となります。そのために必要なことがモチベーションの向上・持続です。それではどのようにすればモチベーションを引き出すことができるのでしょうか?モチベーションについてまとめました。

モチベーションの構成要素

モチベーションは2つの要素で構成されます。

外発的動機づけ

外から与えられる動機づけのことでお金や物などです。報酬だけでなく罰も含まれます。

内発的動機づけ

自分自身の内からなる動機づけのことで、好奇心や関心、やりがい、達成感、自己成長などがあります。

どちらの動機づけがよいのか?

目的・期待効果によって分類して解説します。

効果の期間

長期的な効果を期待する場合は、内発的動機づけを選択するほうが好ましいです。

「外的な報酬が重要視される環境では、多くの人は報酬が得られる局面までしか働かない。それ以上は働かなくなる。」

「報酬によって、人のやる気を短期間起こさせることは可能だ。だが、報酬の効果は次第に弱まる。長期的モチベーションが失われるおそれもある。」

(米アナリストのダニエル・ピンク著「モチベーション3.0」からの引用)

仕事の領域

クリエイティブな仕事は内発的動機づけが適しています。

一方、単純作業のルーチンワークでは以下の条件が前提となりますが、外発的動機づけで交換条件付き報酬を活用することでもよいとされています。

(交換条件付き報酬とは、もし~をしたら、・・・を与えるという具合に、条件を提示する報酬のことです。)

【条件】
  • その仕事が必要だという根拠を示す
  • その仕事が退屈なものだと認める
  • それぞれのやり方で仕事を行うことを認める

注意点

内発的動機づけを実践する場合、基本的な報酬ラインが必要です。給与、契約料、給付金、最低賃金を埋め合わせるための特典などです。基本的報酬ラインが不適切であるか公平さを欠けば、被雇用者は自分の置かれた状況の不公平さや不安にばかり気を取られるため、意欲の喚起がきわめて難しくなるとされています。そのため、業界水準の給与は必要と言われています。

まとめ

どちらの動機づけを優先するかは企業・雇用者の方向性や仕事内容により異なりますが、単純明確であるのは外発的動機づけです。これらは昔から多くの企業で採用されてきたものです。しかしながら、働き方改革、自己実現、AIの登場、売り手市場など、現代社会では様々な変化があります。冒頭に述べましたように、長期間にわたって従業員を育成・雇用することは強い組織を作るうえでは必要不可欠です。例えば、離職率の低減、リーダーの育成などは長期的なビジョンで立てる組織戦略になります。そのような場合は、内発的動機づけを重要視すべきであるといえます。

内発的動機づけは何をどのように実践するかという点が難しいですが、「どうしたら自発的に働いてもらえるか、内発的な動機を引き出すためにはどうしたらよいか」を検討し、各企業・組織の特徴に合わせて具体的な方法を考案しましょう。

参考書籍

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
講談社 ダニエル・ピンク 著/大前 研一 翻訳