2017年、医療機関のホームページについて2つの大きな動きがありました。

(1)医療機関のウェブサイト規制厳格化(厚生労働省)

(2)医療や健康に関する検索結果の改善(Google)

これからの医療機関のホームページの在り方として、広告規制が厳しくなるなかで、医療専門家による有益な情報をいかに消費者に伝えていくかが鍵となります。

※この記事は2017年12月24日に記載したものです。最新情報は必ず厚生労働省のホームページで確認してください。

厚生労働省ホームぺージ

医療機関のウェブサイト規制厳格化(厚生労働省)

医療機関ネットパトロール

昨今増加傾向にある美容医療サービスに関する消費者トラブルを減らすべく、厚生労働省は2017年8月24日、「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化」事業の一環として、民間委託事業者による「医療機関ネットパトロール」を開始しました。内容としては、医療機関のウェブサイトの内容に医療法や医療広告ガイドライン、医療機関ホームページガイドライン等に違反する記載がないかを民間委託事業者がチェックするというものです。すでにネットパトロールは開始されており、一般消費者からの通報窓口も設けられています。

厚生労働省委託事業 医療機関ネットパトロール

医療広告ガイドライン改正(2017年12月24日現在)

2018年6月1日から改正医療法が施行され歯科医業にも適応され、多くの歯科医院が対応することとなります。まだ医療広告ガイドラインは確定されておりませんが、しっかりと医療広告規制を遵守したホームページにリニューアルするために対策を始めましょう。虚偽の記載、比較広告、誇大広告、公序良俗に反する広告、その他厚労省が定める内容については、ホームページに記載することで違法になります。また、公式サイトだけでなく、ブログやSNSに関しても医療広告規制に従わなければなりません。術前術後(ビフォーアフター)の写真は条件付きで掲載可能、患者の声など体験談の掲載は禁止となります。

これまで歯科診療所のホームページは原則として広告に当たらず、ガイドラインに沿って適切なホームぺージであるべきであるとされてきました。しかしながら、ガイドライン修正案では、「ウェブサイト等も規制の対象とする」とあります。様々な歯科医院のホームページを調べてみましたが、ガイドラインに抵触するものが散見されます。これは多くの歯科医院の院長は自院ホームぺージをチェックする時間が取れず業者に一任することがほとんどであり、ホームぺージ制作会社が歯科業界の事情・特徴を把握できておらず、低価格で制作のみに着目したサービスが増えたためと推測されます。なお、中には歯科に特化したホームぺージ制作会社でありながら、違法となるようなホームぺージを制作してきた会社もあります。その結果、医療機関としての品位・信頼性を損ない、ブランドを毀損することに繋がっています。

これを機に医療機関としてのホームぺージの在り方をもう一度考えてみて下さい。

最新情報、詳細情報は厚生労働省のホームページでご確認ください。

禁止される広告の基本的な考え方

  • 虚偽広告は罰則付きで禁止
  • 虚偽広告と同様の考えから次の広告は禁止
    1. 比較広告
    2. 誇大広告
    3. 広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容の広告
    4. 公序良俗に反する内容の広告
  • 品位を損ねる内容の広告等、医療に関する広告としてふさわしくないものについても、厳に慎むべき

広告の定義

次の1~3のいずれの要件も満たす場合に、広告に該当する

  1. 患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
  2. 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療
    所の名称が特定可能であること(特定性)
  3. 一般人が認知できる状態にあること(認知性)

医療や健康に関する検索結果の改善(Google)

スマホの普及により、「Googleで検索する」ということが日常行為となっています。検索すれば悩みを解決できるということから「教えて!Google先生!」と言われるほどです。インターネット上で検索すると多くの情報(検索結果)が表示されます。検索結果に表示される順位が上位であればあるほど閲覧される可能性は高くなります。ではどうすれば順位を上げられるのでしょうか?残念ながら詳細な条件は公開されていませんが、100を超える基準により判断されているそうです。そんな中で医療・健康の分野に関してGoogle先生の新しい方針が発表され、検索アルゴリズムが改善されました。歯科医院にとっては朗報です。専門家としての情報を提供することで多くの人に閲覧されるようになりました。

Googleアナウンス

2017年12月6日、Googleから医療や健康に関連する検索結果の改善についてアナウンスがありました。

Googleウェブマスター向け公式ブログより一部抜粋

「医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすくなります。(中略)医療の専門用語よりも、一般人が日常会話で使うような平易な言葉で情報を探している場合が大半です。日本のウェブには信頼できる医療・健康に関するコンテンツが多数存在していますが、一般ユーザー向けの情報は比較的限られています。」

これにより医療専門家が専門用語でなく一般用語で情報を提供し、一般消費者向けに分かりやすいサイトを作ることで検索結果上位に表示される仕組みとなりました。例えば、「う蝕」でなく「むし歯」、「クラウン・インレー」でなく「被せもの・詰めもの」のように表現することが重要となってきます。普段患者さんに分かりやすいように説明されていると思いますが、ホームページはどうなっているかをガイドライン改正も踏まえ、もう一度チェックしてみてください。

医療や健康に関する検索結果の改善

その他禁止事項

Googleの方針として、「利用者に有益な情報を提供するオリジナルのサイトを評価する」というものがあります。「検索順位をあげるために業者からリンクを購入する」、「他サイトをコピーして情報量を増加させる」などといった行為はペナルティを受け、検索結果に表示されなくなります。コツコツと情報を積み上げていくことで結果的に検索順位も上がります。

まとめ

「広告規制が厳しくなるなかで、健全な医療機関の専門家としての意見を患者に伝えていく。」

一言でいえばこのようになりますが、実践するには労力・時間もかかります。

しかし、それを実現できた歯科医院は患者さんから安心・信頼を得ることができ、他医院との差別化を図ることができるようになります。

まずは情報発信の手法・内容を見直すことから始めましょう。