歯科技工士の志願者数

現在、歯科技工士の志願者数は減少傾向にあります。

20年間の歯科技工士学校 定員・受講者数・合格者数・入学者数の推移

20年間の歯科技工士学校 定員・受験者・合格者・入学者の推移のグラフ 年々減少しています

平成27年度は入学者数が1,160名でした。

平成28年度は1,032名と過去最小となり、定員に対する充足率は56%、在学中に退学する生徒もいることから卒業時の2年後には1,000名ぐらいになると予想されています。

平成8年度の志願者数は5,000名を超えていましたが、少子化・業界の変化に伴い、激減してきています。

(全国歯科技工士教育協議会会長 末瀬一彦先生のコメント引用)

就業歯科技工士の年齢構成

就業歯科技工士の年齢構成グラフ

上記グラフは就業歯科技工士の年齢構成を表したものです。

平均年齢は53歳で45歳以上が過半数を占め、若い世代が少なく、特に25歳未満が5%を下回っています。

今後、年配の歯科技工士が退職し、歯科技工士志願者数も減ってきていることから、就業歯科技工士の数も減ってくると予想されています。

男女比としては約85%が男性で、最近は女性も増えてきているとのことです。

比較として、就業歯科衛生士の年齢構成をご覧ください。

就業歯科衛生士の年齢構成

就業歯科衛生士の年齢構成グラフ

2014年はどの年代もほぼ割合的には同じとなっています。

歯科技工士・歯科衛生士の就業者数の推移

歯科技工士・歯科衛生士数の推移グラフ

歯科技工士はほとんど横這い、歯科衛生士は右肩上がりという現状です。

一方、歯科技工所の数は少しずつ増加しています。

歯科技工士としての問題点

歯科技工士の問題点として以下のものが挙げられています。

1位 低賃金 35%
2位 長時間労働 24%
3位 健康保険制度 14%
4位 受注量 9%
5位 健康問題 7%
その他 転業、人間関係、後継者、負債など

低賃金・長時間労働・社会保険の問題が大きなものとなっています。

就職状況

求人数は徐々に増加傾向にあり、毎年実態としては3,000~4,000名の求人があるそうです。

就職先が最も多いのは歯科技工所で約750名、次いで歯科医院や進学となり、最近は歯科医院での就職も増えてきています。

日本の歯科技工所の特徴は、2~3名の小規模歯科技工所が78%を占めているという報告もあります。将来的にデジタル技工が進む上で末瀬先生はこの現状をどう活かしていくかが課題になると考えているそうです。

今後の歯科技工士業界の展望

CAD/CAMシステムを導入している歯科技工所は約20%と言われています。

歯科技工士の数が減っている昨今の流れから考えると、年配の歯科技工士が退職したときに若い世代の力が必要になってくると思います。今後デジタル化が進む中でデジタル技工が求められてきますが、完全なデジタル化とはならず、やはり人の手が必要な場面もあります。

歯科技工所の中にも労働時間の短縮に向けて取り組んでいるところも増えてきました。労働環境の改善を通じ、歯科技工士業界も発展していくことを期待しています。

歯科技工士になるためには?

歯科技工士になるためには、歯科技工士国家試験に合格しなければなりません。受験資格は、歯科技工士を養成する大学や短大・専門学校に入学・卒業することです。一般的に専門学校では昼間は2年制、夜間は3年制のカリキュラムが組まれています。また大学の歯科技工士過程であれば4年、短大では2年となっています。

私は夜間の3年制の学校を卒業し国家試験に合格しましたが、昼間は歯科医院で働きながら通学することができ、業界知識・人脈・実務経験も併せて培うことができました。昼間の2年制の学校では資格を取得するのは1年早いですが、卒業後に歯科技工士として活躍するために資格以外の様々なことを習得できる夜間制の学校に通ってよかったと思っています。特に社会人の方は年齢の問題もあり、現役生と比較されがちですので、資格取得以外の面も強化していく必要があります。(夜間制の歯科技工専門学校は全国に3校しかありません。)

歯科技工士専門学校の授業風景

CAD/CAMによりコンピュータ上で補綴物を設計・製作している様子
義歯(デンチャー)製作の風景

もっと詳しく知りたい方は、下関歯科技工専門学校のホームページをご覧ください。

入学案内、卒業生の声、授業内容など多くの情報を掲載しています。遠方から来られる方へ住居の紹介や奨学金制度もありますので、歯科技工士を目指したい方はお問い合わせください。

終わりに

いかがでしたでしょうか?年配の技工士の方の退職により、これから若手の方は活躍できる可能性があります。これから歯科技工士を目指す方、今後の方向性を考えている方、近くにご相談できる人がいない場合はご協力します。質問等がありましたら、ご相談ください。(返信まで少々お時間をいただきます。ご了承ください。)

※参考書籍
「日本歯技 2016年7月号」 公益財団法人 日本歯科技工士会