各地の歯科医院では様々な経営課題があります。そのなかで、「歯科衛生士の雇用問題」というものがあります。多くの歯科医院は歯科衛生士を雇用したいと考えながらも、雇用できていないという状況です。
この問題について少し掘り下げて考えてみます。
なぜ歯科衛生士が必要なのか?
歯科医院の経営について考えたとき
売上 = ユニット数 × 客単価 × 回転数 × 診療日数
という方式があげられます。
売上が上がらなければ、規模の拡大や新サービスへの投資もできません。ユニット数、診療日数は操作することがほぼ不可能な問題であるとすると、いかに客単価、回転数を上げるかということになります。
客単価を上げるということは、一般的に言われていることは自費治療です。
回転数を上げるということは、より多くの患者を治療するということです。
歯科医師による治療のみの場合、1ドクターでは治療が回らず、歯科医師が治療するまでの待ちの時間が発生してしまいます。
歯科衛生士を雇用しメンテナンス・予防について担当してもらうことで、歯科医師が対応せずとも回転数を上げることができます。
また昨今では、治療のためでなく予防のために歯科医療を受診することが重要であると考え方が浸透してきており、歯科衛生士の重要性はますます増してきています。
歯科衛生士の就業状況
厚生労働省の平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況では、次のようにまとめられています。
就業場所別にみた就業歯科衛生士
平成26年 116,299人
平成28年 123,831人
比較 7,532人(6.5%)増加
上記のような問題が言われていますが、就業歯科衛生士は増えています。
平成28年の歯科診療所の施設数は68,940件ですので、歯科診療所1施設あたりの平均就業歯科衛生士の数は約1.8人です。現状、複数人の歯科衛生士を雇用している歯科診療所も多くあり、一方で歯科衛生士がいない歯科診療所もあります。
歯科衛生士を雇用できない原因
いくつか考えられますが、それぞれの歯科診療所により原因は異なります。
- 院長先生やスタッフと合わない
- 労働条件・労働環境が合わない
- 歯科衛生士の中で噂が広まっている
などがあげられます。
中には、「ブランクがあり不安がある」という歯科衛生士もいます。
医院の経営方針もありますので、全てを歯科衛生士の要望通りにすることはできませんが、時代とともに働き方も変わってきています。
現在勤めている助手・受付の医院に対する要望・不満等を参考にしながら、歯科衛生士・スタッフが働きやすい環境を作ることが大切です。
そして、それらを伝えることが必要です。待っているだけでは何も起こりません。
スタッフとの信頼関係を築くことが、長期の人材確保に結びつきます。