平成29年度の歯科技工士国家試験の合格発表がありました。国家統一試験となって3回目の試験でした。受験生の皆さん、お疲れ様でした。試験が難しかったという声も聞いています。

例年と比べてどのように変化したか、また、来年度以降はどのように変化するかをまとめました。

※参考 厚生労働省ホームぺージ 「平成29年度歯科技工士国家試験の合格発表について」

平成29年度 歯科技工士国家試験合格率

試験実施日:平成30年2月18日(日)

合格発表日:平成30年3月28日(水)

 受験者数合格者数合格率
平成29年度952名902名94.7%
平成28年度1,012名987名97.5%
平成27年度1,114名1,104名99.1%

比較:平成29年度 歯科衛生士国家試験合格率

試験実施日:平成30年3月4日(日)

合格発表日:平成30年3月28日(水)

 受験者数合格者数合格率
平成29年度7,374名7,087名96.1%
平成28年度7,218名6,737名93.3%
平成27年度7,233名6,944名96.0%

平成29年度の歯科技工士国家試験は昨年度よりも受験者数は60名減少、合格者数は85名減少、合格率は2.8%減少という結果になりました。

歯科衛生士の試験合格率を下回っており、ここ3年の状況を見ると全ての数値が減少しています。つまり、歯科技工士を志す人が減少するなかで、合格者数・合格率も減少しています。

これらの状況のメリット・デメリットを考えてみます。

国家統一試験のメリット

  • 歯科技工士の知識・技術レベルの向上

ここ数年で歯科技工士の免許を取得する難易度は上がってきています。つまり、資格取得のためにより深い知識・高い技術が求められています。歯科技工士の数が減少するなかで難易度の高い能力が求められるということは、歯科技工士の希少価値は増していると言えるでしょう。

国家統一試験のデメリット

  • 歯科技工士の数の減少
  • 歯科技工士専門教育機関の負担増・運営難

年配の歯科技工士が一線を退く、いわゆる団塊の世代の退職により、歯科技工士の数は減少傾向にありますが、歯科技工士を目指す方も減ってきています。そのような状況で合格率が減少しており、歯科技工士の人材難が危惧されます。また、各歯科技工専門教育機関も教育レベルを上げることが求められてきます。昨今、入学者数が減少したために閉校となる教育機関もあります。これらが悪循環しないように、歯科技工士の数の減少に歯止めをかけられるような対策が必要です。

来年度以降の国家試験はどうなるの?

まず抑えておきたい点は、来年度入学者から歯科技工士教育機関の教育カリキュラム改正が適応されます。2年制と3年制の学校がありますが、最短のケースを考えてみると、2019年度(平成31年度)入学者は、2020年度末に試験を受けることになります。

このタイミングで国家試験が見直される可能性は十分にあります。それまでの国家試験もここ数年の状況を見ると、さらに難易度が上がる可能性もあります。つまり、これから数年間は試験内容は予測がつきにくいのが現状です。

しかしながら合格率は90%を超えています。しっかりと学習して試験に臨めば合格する可能性は十分にあります。

まとめ

歯科技工士の数の減少、国家試験の難化により、歯科技工士の希少価値はますます増しています。そのような状況で歯科技工士を目指す方は大変だと思います。しかし、これらの状況は稀有な職として活躍するチャンスでもあります。

将来の歯科医療分野を支える歯科技工士が一人でも多く誕生してくれることを願います。