平成29年度の歯科技工士国家試験まで残すところ約1カ月となりました。本番まであまり時間はありませんが、試験に向けて追い込みをかける時期となります。平成28年度の試験を受けた経験から、試験直前対策をご紹介します。

平成28年度歯科技工士国家試験合格率、試験内容・合格基準についてはこちら

学説試験対策

選択式のマークシートで出題されます

まずは基礎科目群・専門科目群それぞれで得点率が30%未満とならないことが前提となります。

基礎科目群専門科目群
歯科技工に関する共通した知識が問われる科目です。
理工学・解剖学・顎口腔機能学・関係法規です。
それぞれの分野に特化した知識が問われる科目です。
歯冠修復学・有床義歯学・小児歯科・矯正歯科です。

そのうえで、以下の項目を確認してみましょう。

自分の苦手分野が偏っていないか

苦手分野が偏ってしまうと、科目群30%未満となる可能性が出てきます。

苦手分野が偏っていた場合はどの科目を重点的に学習するかを決めましょう。また出題数の多い科目をしっかりと学習するほうが出題される可能性が高くなり、科目群全体に対する割合も大きくなります。

各科目の出題数ボリューム

例えば過去問や模試などで分かるように、歯冠修復学・有床義歯学は出題数が多く、小児歯科・矯正歯科は出題数が少ない傾向があります。

学習方法

2年前から国家統一試験になり、試験内容もまだ発展途上の状況だと考えられます。

平成28年度の試験を受けた感想としては、以下の2点があります。

丸暗記で答えるものが少なくなり、考えて解答する必要がある問題が増えている

暗記だけで対応できる問題もありますが、応用力を問う問題が多くなってきています。そのため、単に暗記し「Aの場合はB」という形ではなく、「Aの場合はCという問題・特徴がある。ゆえにBである」という思考プロセスが必要になると思われます。とはいえ、暗記はぎりぎりまで得点力が伸びますし、暗記しておかなければ解けない問題もありますので、まずはしっかりと覚え、過去問や問題集、模試などを繰り返しこなし、間違えた問題にはチェックをして解説を読んで理解を深めましょう。後日チェックのついた問題を再度解くことによって知識が定着します。

写真・画像をもとにした出題が増加傾向にある

写真・画像をもとにした出題は平成27年度は1問であるのに対し、平成28年度は10問超と大幅に増えています。教本は白黒の写真も多く分かりにくいかもしれませんが、本番はカラーで出ますので、分からない写真は学校の先生に質問したり、インターネットで調べたりして対策しておきましょう。

実地試験対策

歯科技工 模型の画像

国家統一試験になり2年連続で歯のデッサン、歯型彫刻、ワイヤー屈曲が出題されています。試験概要が配られていると思いますので、相違がないか内容を確認しましょう。歯型彫刻・ワイヤーはすぐにできるものではなく、これまで学校で学習してきた成果が形となって表れます。デッサン対策・歯型彫刻は左右逆にせず、各歯の特徴を抑えられるようポイントを整理しましょう。私は彫刻・ワイヤーが苦手で毎日取り組んでいました。なかなか上達しなかったですが、最後まで繰り返し練習していました。この練習が本番の緊張を和らげてくれました。

当日気をつけること

デッサンは記入する枠がありますが、どこに何を記入するか(歯冠長や向きなど)が指定されています。本番では注意しましょう。

歯型彫刻は机が汚れてしまうので最後に取り組むことをお勧めしますと試験でアナウンスがありました。ワイヤー用紙などを水でぬらしたりしないように配慮しましょう。

また、デッサン・彫刻・ワイヤー屈曲を2時間で行わなければならないため、時間配分に気をつけましょう。

おわりに

歯型彫刻の際のケガや体調に気をつけてこれまで頑張ってきた成果を当日出せるようにすることもとても大切です。

当日は緊張することもあります。見たこともない問題が出て慌てることもあるでしょう。

しかし試験は全体の問題に対する結果ですので、分からない問題は後回しにする、得点できる問題を取りこぼさないようにするなどで対応しましょう。

落ち着いて自信をもって頑張ってください。皆さまの合格をお祈りしています。